県議会一般質問

平成16年12月定例会

質問:馬場せいし

 皆さんおはようございます。熊本市選出・自由民主党の馬場でございます。本日は、十二月議会のトップを飾らさせていただきまして、その機会を与えていただきましたことに心から感謝を申し上げます。
 昨年から、国と地方の関係において、三位一体の改革と称する行財政の改革が行われていることは、ここにおられる全員の皆様方が御承知のことであります。当初は、地方分権と税源移譲によって、そこに生じていたむらとむだをなくすことにより行財政の改革を実行するものとしてスタートしたことも皆様御承知のとおりであります。
 しかし、今の姿はどういうふうに映っているでしょうか。各省庁と言った方がいいのかもしれませんが、国は、地方への予算の流れをとめることだけに終始し、財源の移譲も権限の移譲も本気でやる覚悟は全く見られず、行政のスリム化なども全く考えていないのではないでしょうか。
 また、税源移譲とは全く別の、地方の命綱である地方交付税交付金を、十六年度三兆、十七、十八年度に七兆とかいうとんでもない額を、まるで大根でも切るように簡単にカットしようとしているわけであります。地方がどれくらい痛みを感じるのか人体実験をしているようなものであります。また、それで国の財政が持ち直すかというと、そこまでの効果はなく、遊んでいるのではないかという怒りを覚えるところであります。
 今の財務省の感覚を想像すると、地方が死んでしまったとしても、あれ、やっぱりだめだったかと言えるような、そんな感覚なのではないかと。最近起こる事件の中で、どれぐらいやったら死んでしまうのか知りたかったというような、信じられない犯人の心境が報道されるのと同じ感覚でとらえるのは私だけでしょうか。
 このことに関しては、地方は徹底的に闘わなければならないということは共通の思いであると存じます。しかし一方で、報道などを見てみると、地方に同調するような記事はほとんどなく、地方がむだ遣いをするから国や地方の財政が悪くなるんだといった傾向のものが多いと感じるのも私だけではないと思います。ある意味、地方紙やローカル放送局などは、ただ単に中央から配信してくる情報をそのまま報道するのではなく、地方の視点から報道をしてもらいたいという強い思いがあるわけでありますが、共通認識を持ってもらうための姿勢や努力をしていかなければならないということも大きな反省材料であると思います。
 そういった観点から、ここ最近を振り返りながら質問に入っていきたいと思います。
 去る十一月二十六日に、三位一体の改革の全体像が政府・与党において決定されました。その内容は、今議会冒頭に知事から説明がありましたように、国庫補助負担金については、財源措置がない削減分四千七百億円を含めて約二兆八千億円を見直し、税源移譲については、平成十六年度実施分の約六千六百億円を含め約二兆四千億円を移譲する、また、地方交付税については、平成十八年度までは、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保するというものでありました。
 しかし、地方交付税等の総額が玉虫色で、交付税が削減される不安は依然として残っており、また、補助負担金改革と税源移譲の規模も、よくよく見れば、地方が主張していた三・二兆円に対して三兆円という規模には到底届きません。さらには、国民健康保険に関する県負担の導入が決定されるとともに、生活保護費等の負担率引き下げが検討事項とされるなど、地方にとっては今後に不安を残す内容であります。とりわけ交付税については、全体像に至る論議の過程で、財務省がマスメディアを使い、いかにも地方がむだ遣いをしているかのごとく国民にキャンペーンを張り、七兆円から八兆円の地方交付税等の削減を打ち出しましたが、これがいかに現実離れをしたとんでもない主張であるか考えてみたいと思います。
 万が一この削減が実行されれば、熊本県の地方交付税などは約七百億円も減ることになります。本県の本年度の予算規模は七千四百億円でありますが、財政分析の手法で中身を見てみますと、そのうち一般財源は四千億円しかありません。また、そのうち、公債費、扶助費、人件費といった義務的な経費三千四百億円を差し引けば、残りは六百億円しかないわけであります。その全部が軽く吹っ飛ぶ計算となるものであります。
 経常収支比率という指標を使って説明すれば、現在でも八八・八%と財政が硬直化している本県財政は、先ほど申し上げました財務省案を単純に当てはめると一一六%になります。これでは何もしなくても一六%赤字ということでありまして、治安、福祉、教育、環境など県独自の施策を展開していくことも不可能で、県民生活にも大打撃を与えるものとなります。
 加えて、県内市町村の経常収支については、現在で九〇%以上が三十二団体、その中で九五%を超えるのが三団体あり、先ほど申し上げた財務省案、熊本県が一一六%になるという案をそのまま当てはめますと、その中では経常収支比率が一一九%となるところも出てくるわけであります。約七百億円の交付税などの削減というのは、もしかしたら、赤字再建団体になるよりももっと悪くなるのではないかという心配があるわけであります。
 しかし一方で、本県を初め地方が徹底的な行財政改革を進めているにもかかわらず、国は、職員数の削減や給与カットも行わず、徹底的な行財政改革を行っているとは言えません。その上、国の財政赤字のしわ寄せを地方へ負担転嫁し、地方財政を破綻させる行為であり、本県を初め地方としては断固受け入れられないものであります。
 県議会では、三位一体に対応するため、昨年財政対策特別委員会を設置し、特にこの数カ月、県議会として、あるいは自民党県連として、国に対し地方交付税総額の堅持を訴えるとともに、潮谷知事を初め執行部におかれても、県議会と一体となって堅持を訴えられてきたのは、そうした危機感があってのことであります。
 こうした取り組みは全国で燃え上がり、今回国から示された全体像では、総額の堅持がうたわれ、地方交付税の大幅削減は当面は回避できたようであります。しかし、十七、十八年度の二年間は確保するということの裏を返せば、二年後は保証しないということにもなるわけであります。
 話は変わりますが、全国知事会を初め地方六団体は、改革案を提示する際、前提条件をほごにすれば撤回も辞さずと明言されていました。これは、昨年の轍を踏まないという地方団体すべてに共通する教訓であったと思います。申すまでもなく、今年度分の一兆円の補助金カットに対して、財源の移譲は五割にも満たないわけであります。しかし、全体像発表後の地方六団体の受けとめ方は、満足ではないが、とりあえず受けとめるというものでありました。
 しかし私は、撤回も辞さないという強い態度で国に当たらなければ、国みずからは何の反省もせず、ただ単に国のしわ寄せが地方に来るだけで、地方分権も国や地方の財政再建もできはしないと思います。まだまだ地方は、譲歩するのではなく、引き続き、全国知事会を初め地方六団体が一体となって、地方の意見、実情を国に対して訴えていくべきであり、そうでなければ国は変わらないのではないでしょうか。
 そこで、中期的な課題も含め、今回の全体像をどのように評価し、今後県としてどう対応される考えなのか、知事にお伺いをいたします。
 次に、今後の行財政改革の取り組みについてでありますが、先ほども述べたように、今回示された三位一体改革では、平成十八年度までは、地方交付税と地方税等の一般財源総額は確保するということですが、逆に考えると、先ほども申し上げましたが、十九年度以降は約束しませんということであります。今の国の財政状況から見ると、そうあってほしくないのですが、十九年度以降は大幅カットされる可能性があると考えた方が自然ではないかと思います。
 また、本年五月に県が公表した中期財政試算では、平成十七年度以降は三百七十億から六百億円の大幅な財源不足が生じかねないとの試算結果も示されています。既に本年度に地方交付税の大幅削減で本県でも約三百億円の影響を受けています。この三百億円の穴埋めにめどが立っていない状況の中で、十九年度以降さらに地方交付税が大幅削減されるなら、一体これはどうすればいいのでしょうか。
 県では、ことしの夏に事務事業の総点検が行われ、その結果は、平成十七年度予算で、一般財源ベースで、平成十六年度に比べ、十億円から三十億円程度の削減が可能ということでありますが、三百億円には遠く及ばない数字であります。本県においては、全国に先駆けて、平成十三年度から財政健全化の取り組みを強化し、かなり事業費の見直し、削減を行っているので、総点検を行ったからといってそう簡単に財源の捻出ができないのも容易に想像できるわけであります。どうしても事務事業の見直しで対応できないなら、最後は、県予算の約三割を占める人件費の抑制を検討せざるを得なくなるのではないでしょうか。
 いずれにしても、平成十九年度以降に起こるかもしれない地方交付税のカットを心配する前に、平成十六年度の三百億円カット、これに対応しなければなりません。そこで、この地方交付税の三百億円カットにどのように対応されようとしているのか、総務部長にお尋ねをいたします。
 続きまして、小中学校及び県立高校の統廃合等についてお尋ねをいたします。
 行財政改革基本方針の骨格においては、知事部局のみの削減目標が示されておりますが、知事部局の職員は、警察や教職員を含めた県全体の職員数約二万四千人の約二割、約五千二百人にすぎず、知事部局のスリム化だけでは総人件費の抑制の効果はおのずと限界があります。総人件費の抑制という観点から見れば、知事部局だけではなく、正職員と臨時採用教員等を合わせれば一万七千人と、全体の六割以上を擁する教職員の削減についても検討を行う必要があるのではないでしょうか。
 検討の一つとして学校の統廃合が考えられます。学校の統廃合については、第一義的には教育効果の維持向上の観点から検討されることとは思いますが、同時に、学校の統廃合は、教職員等の削減、財政面の削減にもつながるもので、行財政改革という面でも大変重要な視点であると思います。
 少子化が進む中で、市町村においては小中学校の統廃合が進んでいると聞いております。小中学校の統廃合の現状と、県教育委員会は市町村に対してどのように指導していかれるのか、教育長にお尋ねをいたします。
 また、県においても、県立高校の統廃合を進め、教職員の削減を図るべきと考えます。県立高校の統廃合についてはどのように考えておられるのか、あわせて教育長にお尋ねをします。
 また、各学校に通常配置する教職員以外に、少人数による授業などきめ細かな指導を初めさまざまな目的で配置する、いわゆる加配教職員が相当おられますが、これも見直しをされる余地はないのか、教育長にお尋ねをいたします。

答弁:潮谷義子 知事

 三位一体の改革につきましては、国から三兆円の税源移譲をしますから、それに見合うだけの廃止すべき補助負担金の具体案、これを地方に求めますという異例の要請がなされました。本県を初め地方六団体は、これを真摯に受けとめ、深夜にわたる長時間の論議を経て、地方としての改革案を取りまとめ、国に提出をいたしました。その後も、国と地方の協議の場等を通じて、改革案の実現を粘り強く求めたところであり、県議会におかれましても、本県の実情を踏まえ、国へ強く働きかけていただきました。
 しかしながら、地方の提案を受けて始まった国の論議では、地方に対する不信と省利省益を優先した論議が目立ちました。また、平成十一年の地方分権一括法成立の際に、地方税財源の充実と国庫補助負担金のさらなる整理合理化を図るという附則の追加及び附帯決議まで行われたいきさつを尊重することなく、地方分権を進める姿勢は全く見受けられませんでした。
 果たして、先般政府・与党が決めた三位一体の改革の全体像では、多くの課題が先送りにされ、地方六団体の改革案の考え方は十分に尊重されてはおらず、むしろ不安が残る不透明な結果となり、本県を初め県内の自治体代表者は不満足の意思表示を行ったところです。
 例えば、地方交付税等の総額は、年末の地方財政対策にゆだねられ、地方六団体の提案になかった国民健康保険につきましては、制度をどう見直すかの方法は明確でないまま県の財政負担を導入することとされたり、また、義務教育費の取り扱いがどうなるのか、平成十七年中に検討するとされた生活保護費等の負担率引き下げが阻止できるかなど、先送りの課題も多うございます。
 このような内容は、地方財政をさらに厳しい状況に追い込むことになり、ようやく持ち直しつつある景気を減速化させるのではないか、また、県民サービスの低下につながるのではないかという不安を県民に与えるものであると私は思います。
 また、中期的な課題として、地方が安定した財政運営を行えるよう、地方交付税制度を守り、その総額を確保すること、税源移譲がなされた場合でも、地方部と都市部では税収の格差が生じますので、これを適正に調整すること、また、国が必要以上に県に関与しないよう、さまざまな規制を見直していくことを進めなければならないと考えています。
 同時に、県としては、産業振興等に重点的に取り組むなど、将来の税財源の涵養を図っていくことが必要であると考えています。
 全体像を不満として、この際、地方六団体が国に提出した改革案を撤回すべきとの主張もございます。しかし、地方六団体は、決して満足とは受けとめてはおりませんけれども、引き続き開催されることが決まりました国と地方の協議の場におきまして、国と対等の立場で、さまざまな課題に向け、さらに結束を強化して国に強く働きかけていくことといたしました。
 国も地方も、国を思い、国をつくる、この共通の考えに立って、今後、中期的な課題も含め、真の地方分権の実現に邁進すべく、県としても引き続き、県議会、県内自治体代表者等と一体となって、不退転の決意で国に対し働きかけてまいりたいと考えています。

答弁:北川正 総務部長

 今後の行財政改革の取り組みについてでございますが、国の三位一体の改革という地方財政制度の構造改革に対応するため、従来の経費ごとに一律に削減するという手法に加えまして、個別の課題に踏み込んだ見直しを進め、行財政構造の質的改革を目指すこととしております。
 そのため、事務事業の総点検を実施しまして、経費削減の検討を進めている中で、各部局ごとの重要課題につきましては各部局長との個別協議を行うなど、従前の行財政改革にはなかった取り組みを実施しているところです。
 本年度の地方交付税などの約三百億円の減少は、主に財政調整用に活用し得る四基金の取り崩しなどによりまして対応できましたけれども、平成十七年度以降もその減少の影響が継続することから、入るをはかりて出ずるを制すという歳入重視の行財政運営を徹底していく必要があると考えています。
 今後は、先月公表いたしました行財政改革基本方針の骨格に示しました改革の方向性に沿いまして、収税対策の強化による県税収入などの確保や県有未利用地の売却促進など、歳入の確保に努めることとしております。また、本庁や地域振興局などの組織体制の効率化や業務の重点化、効率化の見直しを進めまして、今後十年間で、知事部局におきまして総職員数の一〇%に当たります五百人以上の削減を行うことなどにより総人件費の抑制を図るほか、投資的経費、一般行政経費などの見直しにより歳出の削減に努めることとしております。
 今後とも、元気で明るい熊本づくりに向けまして、安定的な行財政運営が図られるよう、行財政改革の着実な推進に努めてまいります。

答弁:柿塚純男 教育長

 まず、小中学校の統廃合の現状についてでありますが、現在県内各地で統廃合が進められており、平成十四年度は小中学校の本校、分校合わせて八校、十五年度には十六校、十六年度には十四校が減ったところであります。十七年度には二十六校が減る見込みであります。
 これにより、平成十七年度の小中学校の教職員数は、統合が行われる学校で百九十人減少することが見込まれておりますが、一部の地域で学級数が増加するなど教職員数の増加要素もあることから、県全体では百六十二人が減少する見込みであります。
 また、小中学校の統廃合についての市町村への対応についてでありますが、小中学校の統廃合に際しましては、地域住民の方々の御理解と御協力を得ることが必要であり、県教育委員会といたしましては、文部科学省の統合方策についての通知の趣旨等を踏まえながら、個別に相談に応じるなど、市町村教育委員会に対して適切に助言してまいりたいと考えております。
 次に、県立高校の統廃合についてでありますが、小規模校につきましては、御案内のように、細かい生徒指導等が可能であるといった長所もある一方で、履修できる科目数の制限、あるいは部活動や体育祭等の活動の制約、生徒間の切磋琢磨や社会性の涵養が難しくなるといった短所があり、一定の教育効果を維持するためには、県立高校の統廃合は避けては通れないと考えているところでございます。
 生徒数の減少や学校の小規模化など地域の実情を勘案し、他県の考え方等も参考にさせていただきながら、ことし十一月に設置いたしました熊本県県立高等学校教育整備推進協議会において、統廃合の基準等について協議していただくこととしております。平成十七年度末に予定されている最終報告を踏まえて、県教育委員会で統廃合等に係る実施計画を策定したいと考えております。
 最後に、教職員の加配については、チームティーチングや少人数指導等の指導方法の工夫、改善や初任者研修等に対応するために配置しているところであります。
 県教育委員会といたしましては、今後とも、加配の趣旨に従って、その必要性を十分見きわめながら配置してまいりたいと考えております。

質問:馬場せいし

 ありがとうございました。
 財政の話から切り込むと大変悲しい話になってまいります。今、統廃合の話でありますとか、加配の話とかさせていただきましたけれども、加配についても、一つ一つはとても学校教育の中で大事な部分がたくさんあるわけでありまして、実は私自身も、熊本市議会の質問の中で、三十人学級実現できないかというような質問をさせていただいたことがあります。しかし、現状でいくと、やはり全体的に財源が厳しい中では、なければできないというようなことは、これは当然のことであります。ただそれが、今国との税源移譲の中で大変な闘いになっておることも承知しております。しかし、きちっとした財政運営といいますか、切るべきところ、本当に必要でないところを切らないと、こういった加配とかいう言葉で表現されておる、特別に加算されておる大事な部分が切られてしまう可能性があるということであります。ですから、なお一層、言うなら、定員とか当然やらなきゃならぬというような位置づけができとるような部分の中で、しっかりと行財政改革をやっていただかないかぬというふうに思うわけであります。
 本来私は、人員削減も、もちろん要らない人間は減らさなきゃいかぬというような気持ちは当然でありますけれども、それよりも、たくさんの皆さんで、やっぱり今きついときは、一緒にそれをからっていくんだというふうな気持ちが欲しいというようなことを昨年の質問でもお話をさせていただいたところであります。仮に千人削減する場合と同じ削減効果と――削減効果と言うと言葉が悪いですけれども、財源の削減効果というのは、給料の二万四千人あるいは二万五千人ということになりますか、そこでいけば、六%カットで千人分のカットができるというようなことであります。そういったことは私がいろいろ言わぬでもわかり切ったことであるので、その辺を今後はしっかりと考えていただきたいというふうに思っております。
 また、改革初年度の轍を踏まないという知事の強い気持ちと決意は本当に伝わってまいりました。また、真の地方分権の実現を目指すとのお話もありましたが、私たちが行財政改革に必死に取り組んだとしても、先ほど申し上げましたように、必置規制、基準の義務づけなど国の過度の関与が存在し続ければ、地方としてはテクニックではかわせないところが山ほどありますので、国による関与、規制の見直し、ひいては法律の改正等も国に対してしっかりと働きかけていっていただきたいというふうに思います。
 そして、もう一つ話をさせてもらいますと、今回、私ども自民党県議団は、政府や党本部はもちろんのこと、移動県連や、さらには国政にかかわる人を見つけることができれば、そこが例えば五十周年記念式典の最中であろうとスポーツ大会の会場であろうと、本当にどこであろうと、懸命に交付税カットだけは許せぬということを訴えてまいりました。まさに国との闘いをやってきたつもりであります。国や地方の借金を何とかしなければならないというくらいのことは当然わかっておりますが、まず、国は自分たちの身を削ったのかという思いが強かったことも大きく影響しているわけであります。地方交付税については、一定の成果をそれで得たというふうに思っております。
 しかし、今後の行政運営において、県財政が、住民サービスだけをカットして、自分たちは痛みを感じずに県財政を持ちこたえさせようというような姿を見せるようなところがあれば、今度は私どもは、県行政に対して同じ闘いをしなければならなくなるということも申し上げておきたいというふうに思います。
 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 今後の水俣病対策についてお尋ねをいたします。
 「もはや「戦後」ではない。」これは昭和三十一年の経済白書の有名な一節であります。この白書の言葉が示すように、戦後の焦土の中から立ち上がった我が国は、経済復興期を経て、この後、世界にも類を見ない高度経済成長を達成しました。所得倍増計画の策定等により所得の増加が図られ、耐久消費財の普及により人々の生活水準は向上し、豊かな社会を実現しました。
 この時期、企業はもとより、政府、地方自治体、マスコミ等、国民の多くが重化学工業を中心とする経済的発展こそ何よりも重要であると考えていました。しかし、人々が経済的発展の恩恵を受け、豊かな生活を享受していたその裏側では、公害の発生という悲惨な出来事が起こっていました。生産性のみを優先し、環境への配慮に欠けた企業活動は、多くの人々の健康に被害を与え、さらには地域の環境を破壊し、経済活動、人間関係に回復しがたい深刻な傷跡を残してしまいました。
 昭和三十一年五月一日、水俣市において、原因不明の神経症状の患者として、最初の水俣病患者が報告されました。これが水俣病の公式発見と言われています。報告を受けた水俣保健所等が調査したところ、昭和二十八年ごろから同様の症状の患者が発生していたということ、昭和三十二年一月の時点で五十四名の患者が発生し、うち十七名が死亡していたことが判明しました。昭和三十一年当時、水俣病は伝染性の奇病と報道され、発生地域では、患者が出た家族に対する差別や偏見に、被害者や家族は大変苦しめられました。
 昭和三十一年十一月に、熊本大学から、水俣病は伝染性ではなく、その原因はある種の重金属による中毒症の疑いがあり、水俣湾の魚介類の摂取によるものと報告されました。県は、すぐさま十一月四日に、水俣市の住民に対し水俣湾の魚介類を食べないよう呼びかけるとともに、湾内での漁業を自粛するよう漁業協同組合に申し入れを行いました。
 昭和三十二年四月、水俣保健所長は、水俣病が湾内の魚介類を食べることによって発生することを猫実験で証明し、県は、食品衛生法を適用して、湾内の魚介類の採取を禁止すべきと考えましたが、厚生省は、魚介類のすべてが有毒化しているという明らかな根拠がないため、食品衛生法を適用することはできないと回答いたしました。このとき、法律の解釈はともかくとして、県はもっと積極的に強く対応し、湾内の魚介類の採取を禁止していればと残念に思います。
 昭和三十三年六月開催の参議院社会労働委員会において、厚生省が、水俣病の原因物質は水俣市の肥料工場から流出したと推測されると発言し、また、同年七月には、文書でも熊本県などに対しその旨を通知しました。ところが通産省は、厚生省に対し、原因が確定していない現段階において、断定的な見解を述べないよう申し入れを行いました。
 昭和三十四年十一月、厚生大臣の諮問機関である食品衛生調査会は、水俣病の原因は有機水銀化合物であると答申し、国は、水俣病の原因がある種の有機水銀化合物であること、排出源がチッソ水俣工場のアセトアルデヒド製造施設の可能性が高いことを認識し得る状況にありました。
 チッソは、昭和三十三年九月、アセトアルデヒド製造施設の排水路を湾内の百間港から湾外の八幡プールへ変更し、水俣川河口へ放流し始めました。このことが原因となり、患者発生区域が拡大したわけでもあります。
 翌昭和三十四年十月、通産省が、チッソに対して、直ちに百間港に排水路を戻すこと、排水処理装置の設置を急ぐことなどの行政指導を行い、チッソは、十二月に排水浄化装置を設置しました。これによって、市民はもちろん、研究者もマスコミも、これで水俣病の発生は終わったと思いましたが、この装置は、メチル水銀を除去する設計にはなっていませんでした。
 その後チッソは、一層アセトアルデヒドの生産をふやし、利潤を上げたものの、被害拡大防止のために何の対策もとりませんでした。また、昭和三十四年十月ごろ、チッソ水俣工場附属病院の医師が行った実験により、アセトアルデヒド製造施設の排水を投与した猫に水俣病と同様の症状があらわれることが認められました。ところが、驚くべきことですが、チッソは、医師の実験を禁止し、この実験結果を公表しませんでした。
 今回、最高裁は、国の責任について、水俣病の被害の拡大を防ぐため、住民の生命、健康の保護を目的とする水質二法に基づき、アセトアルデヒド製造施設の一時停止等を命ずべき状況にあったにもかかわらず権限の行使をしなかったとして、国の国家賠償法上の責任を認めました。
 県に対しても、水産動植物を摂取する者の健康の保持等を究極の目的とすると解釈し、県漁業調整規則に基づき、有害な物質を取り除く設備の設置を命じなければならなかったとして、県の国家賠償法上の責任を認めました。
 国及び県は、先ほども述べましたように、昭和三十四年十一月の時点で水俣病の原因を知り得る状況にあり、適切に規制権限が行使されていれば、水俣病の被害拡大を防ぐことができたと判断されたわけであります。
 昭和三十五年以降も、チッソは、昭和四十三年五月にアセトアルデヒドの製造をやめるまで排水を流し続けました。昭和四十三年九月に、厚生省は、水俣病の原因をチッソ水俣工場の排水によるものとの政府見解を発表しましたが、昭和三十四年の食品衛生調査会の答申から実に約八年後のことであります。また、水俣の沿岸に水質規制が実施されたのは、翌年昭和四十四年のことであります。
 一方、県は、昭和五十一年の公害防止事業の負担金に続き、昭和五十三年から患者補償金のために県債を発行し、チッソに対して約千四百億円の資金を貸し付けるなど、金融支援を行ってきました。
 チッソの金融支援については、歴代の公害対策特別委員会や環境対策特別委員会委員長初め先輩方の大変な努力により、平成十二年二月に閣議了解を得て、患者県債の発行によらない政府としての抜本策が講じられたことは皆様御承知のとおりであります。
 また、水俣湾の環境汚染に対しては、昭和四十九年に仕切り網を設置し、昭和五十二年から水銀を含んだ大量のヘドロしゅんせつ工事が始まり、完了までに十四年の期間と四百八十五億円が費やされ、平成二年に完了いたしました。
 患者救済については、昭和四十五年から法律に基づく水俣病認定制度が始まり、千七百七十五名の患者が認定を受け、チッソとの補償協定に基づき、補償給付を受けています。しかし、認定申請の棄却処分を不服として、多くの行政不服審査請求、また損害賠償請求訴訟が行われ、平成七年まで、これらが残された未解決の問題となっていました。
 このような状況の中で、平成七年、当事者間の合意を踏まえ、水俣病問題の最終的かつ全面的な解決を図るため、患者団体を初め多くの人々が政府解決策を受け入れ、和解しました。それにより、国民の中には、水俣病問題はすべて解決したと考えていた者も多くいたと思います。事実私自身もその一人でありました。
 しかし、唯一残っておりました関西訴訟において、本年十月十五日に最高裁判決が言い渡され、国、県の責任が確定いたしました。国、県は、最高裁判決を当然重く受けとめるべきであると考えます。
 判決では、国、県両方に責任があるとのことでありますが、住民の生命、健康の保護を目的とする国の水質二法と、水産資源の繁殖保護を目的とする県漁業調整規則では、水俣病の被害拡大を防げなかった責任は、国の方が県以上に重いと思います。したがって、今回県が取りまとめた水俣病対策の事業費は、当然国の負担割合の方が多くしてしかるべきと考えます。
 最高裁判決で責任が確定したことを受け、県は、その責任を果たすため、今回「今後の水俣病対策について」をたたき台として取りまとめられ、県議会全員協議会において、国と協議することを了承しました。九日に国と協議され、国は療養費の支給などを検討するとのことでありますが、今後の協議をどのように進められるのか、また、認定審査会は十月三十一日で委員の任期が満了し、現在委員が不在の状態ですが、公健法に基づく認定業務については、委員の任命等を含め今後どのように進めていかれるおつもりなのか、知事に質問いたします。

答弁:潮谷義子 知事

 最高裁判所の判決を踏まえた熊本県の対策案につきましては、先般、県議会議員の全員協議会におきまして、この対策案をたたき台として国との協議を行うことを了承していただきました。今月九日に第一回目の協議を行ったところです。
 協議に当たりまして、県として、次の三つの基本的な姿勢をもって臨んだところでございます。
 一点目は、最高裁判決で示された行政責任を真摯に受けとめ、司法上の救済のみにゆだねるのではなく、行政としてもきちんと対応しなければならないこと、二点目は、高齢化し、健康に不安や問題を持つ多くの住民がいる現実を踏まえ、一刻も早く取り組みの姿勢を示す必要があること、三点目は、対策案については、国と県が一体となって対応できるものから早期に取り組んでいく必要があるが、その具体的な内容については、これからの協議の中で詰めていくものであること、この三点を私どもは基本的な姿勢として臨んだところでございます。
 さらに、水俣病の歴史を踏まえて、国、県相互の基本認識の確認がこの九日のところでできたのではないかというふうに考えております。また、医療費や、はり・きゅう、これらの費用の自己負担分を支給する療養費につきましては、支給の対象者、内容、開始の時期等の課題を整理して具体的に協議していくこととなりました。また、八代海の環境調査や八代海沿岸地域の住民等の健康調査につきましては、必要性、有効性等に関して、さらに検討していくこととなっております。また、胎児性水俣病患者等の社会活動支援を行う団体等への助成につきましては、国としても何がしかの支援を検討したいということでありました。
 今後の協議の進め方についてですが、年内に二回目の協議を行う考えであり、国との協議に当たりましては、県としての基本的な考え方を踏まえ、できるだけ早く対応策が取りまとめられるよう、県議会とも十分に連携を図りながら精力的に取り組んでまいりたいと考えています。
 また、認定業務につきましては、今回の判決では、公害健康被害補償法による水俣病の判断基準とは別に、メチル水銀中毒症として司法上の救済の考え方が示されました。
 こうした中で、現在水俣病認定申請者が急増し、認定審査会の委員の中には、従来どおりの業務のやり方でよいのかという戸惑いもあり、水俣病の認定業務については、認定審査会の委員の任命を含め、従来と同様の形で処理することは困難な状況にございます。先日の国との協議におきましても、こうした状況を伝えてきたところでございますが、今後、判断基準と最高裁判決との関係を国としてどのように考えていくのかも含めて、認定業務が円滑に行えるよう、さらに国と協議を進めてまいりたいと考えています。

質問:馬場せいし

 対策案については、本来ならもっと議論すべき事柄であるかもしれませんが、国との協議に当たっては、県選出の国会議員や県議会とも連携し、強力に進めていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げておきます。
 次に、森林環境税についてお尋ねをいたします。
 知事から、九月議会の冒頭の議案説明、そして、小杉議員の質問に対しまして、十七年四月の導入に向けて、鋭意検討を進めていくとの答弁がありました。
 我が自民党としましても、森林環境税プロジェクトチームを設置し、これまで四回の会議を開催し、その必要性、税の負担の方法、税の使い道など検討してまいりました。また、全国で最初に森林環境税を導入した高知県での調査も行ってまいりました。
 このプロジェクトでの検討の中で、私は、森林の働きが私たちの生活環境に与える恩恵は、日ごろ私たちが意識している以上に大きいものがあることを再認識させられました。すなわち、森林の土は、降った雨を吸収し、ゆっくりと流し出し、ミネラルを含んだおいしい清らかな水をつくり出すなど、水資源を涵養する働きがあります。特に、全国の地下水依存率は約二割でありますが、熊本ではどれぐらいか皆さん御存じでございますでしょうか。よく御承知であるというふうに思いますけれども、何と熊本県では約八割を占めているそうであります。そういう意味で、本県の地下水は非常に貴重な水資源と言えます。また、土砂の流出や災害を防いだり、さらに、森から供給される栄養豊富な水が豊かな漁場をはぐくむなどの働きもあるからです。
 一方、今日まで森林所有者が林業活動を通じて守ってきた森林は、木材価格の長期低迷や労務賃金の上昇による収益の悪化、林業就業者の減少、高齢化等、林業を取り巻く情勢の厳しさから経営が放棄され、間伐などの手入れが行き届かない荒廃した人工林の増加により、水資源の涵養や土砂災害の防止などの公益的機能の低下が危惧されております。
 そのため、私は、環境や自然災害に対する関心が高まっている今、社会全体で森林を支えていくことの必要性などを県民の皆様に御理解をいただき、森林の公益的機能の保全のため、森林環境税を導入することは必要であるというふうに思っております。
 そこで、現在検討されている森林環境税について、知事のお考えを四点お尋ねいたします。
 まず、税の使途についてでありますが、県民に新たな負担を求めるのでありますから、これまでの林業施策とは違った新しい施策が必要と思いますが、今まで検討してきたその内容についてお尋ねいたします。
 次に、税額について、九月議会で、現行の県民税の均等割に、個人、法人ともに年間五百円程度の上乗せを考えているという答弁がありました。確かに一律五百円というのは、等しく負担するということからわかりやすい面もありますが、本当に公平と言えるかということであります。
 この税の目的が、個人も法人もひとしく恩恵を受けている森林を、みんなの財産として県民全体で守り育てるということであっても、個人と法人が同じ五百円でよいのかという疑問が生じ、県民の方々にこの税のことを聞いてみると、やはり法人にはもう少し負担を求めてもいいのではないかという声も出てくるようであります。そこで私は、法人の持つ社会的責任や貢献から考えると、法人に対する課税は、その規模に応じた負担を考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、税の名称ですが、仮称として森林環境税という名称が使われておりますが、私は、税の目的や内容が聞いてすぐわかるような、そんな名前がいいのではないかなというふうに思っております。県民みんなで豊かな水をはぐくむ森林を守り育てるという意識の高揚、これにつなげるとすれば、県民にわかりやすい名称を考えなければなりません。
 最後に、税導入まで四カ月を切ったわけでありますが、限られた時間の中で森林環境税が県民の賛同を得るかぎは、県民の皆様から十分な理解を得ることが大事だと思います。これからの県民に対する県の取り組みについてお尋ねをいたします。

答弁:潮谷義子 知事

 森林は、馬場議員御指摘のとおり、多くの公益的機能を持っておりまして、近年は、地球温暖化の原因の一つでもあります二酸化炭素を吸収する森林の働きへの国民の期待、これは一層高まってきております。
 しかしながら、木材価格の低迷によりまして、林業経営が一層厳しくなる中で、これまで森林を守ってきた森林所有者だけでは森林を維持していくのは難しい状況にありまして、森林の持つ公益的機能の低下が危惧されております。
 私たちは、ひとしく森林のもたらす恩恵を受けておりまして、今後ともその森林を適正に保全していくためには、社会全体で森林を支えていく新たな方策が必要であると認識し、森林環境税の導入を検討してまいりました。
 現在まで、全市町村はもとより、農林水産や商工等の各種経済団体等との意見交換、あるいは森林審議会の開催、地域県政モニターへのアンケート調査、県ホームページへの掲載「県からのたより」などを通じて、幅広く御意見を伺ってきております。
 そこでまず、税の使途につきましては、森林の公益的機能の維持向上を図るために、水源涵養地域等にあります森林所有者が経営を放棄した人工林を、針葉樹と広葉樹が混在する自然に近い森林へ誘導するための間伐、それから皆伐後の放置により災害発生のおそれがあります山への植栽など、これまでの施策でカバーできなかった新たな対策に活用することを検討しています。
 また、県民参加の森林づくりを推進するために、NPO、漁業者等が行います植林のボランティア活動に対する支援、環境教育の場としての身近な森林の整備、地域の触れ合いの場としての里山林の利活用など、多くの県民が参加できるような施策に活用することを考えているところでございます。
 次に、税額につきましては、県民みんなで森を守るという税の趣旨から、県民の方々に広く公平に負担していただくということで、一律五百円の税率を考えてきたところでございます。しかし、議員の御指摘にもございますとおり、法人に対する税率が個人と同じであるというのは適切ではないという御意見があります。このような御意見を踏まえ、法人に対する森林環境税の税率については、現在の法人県民税と同様に、資本等の金額に応じて負担していただく仕組みの方が、税の負担能力に応じた仕組みとなるため、より適切と考え、法人県民税の均等割の五%相当額ということで、ただいま検討を行っているところでございます。
 次に、名称につきましては、水に恵まれている熊本でも、最近地下水の水量は減少傾向にあり、その保全が必要であること、未来の子供たちに森の恵みを引き継いでいくことが必要であること、また、水と緑の財産づくりを県の重要施策として推進していることから、水とみどりの森づくり税という名称を考えているところでございます。
 しかし、今後、このことにつきましては、パブリックコメント手続、あるいは公募等によりまして、県民の御意見等を伺って決定してまいりたいと、このように考えております。
 今後とも、県民の皆様たちからこの趣旨について御理解をいただくために、さまざまな方法を通して周知徹底を図ってまいりたいと、このように考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

質問:馬場せいし

 しっかり御検討いただきますようお願いします。
 少し名前が長いんじゃないかなというふうに思いますけれども。済みません、時間がないので、急いで行きます。
 産業廃棄物税を活用した公共関与処分場の立地促進策についてお尋ねいたします。
 県では、産業廃棄物管理型最終処分場の逼迫に備えて、現在、公共関与による管理型最終処分場の整備に向けて取り組まれているところであります。八カ所に候補地を絞って、現在、それらの候補地の関係住民の理解を得るべく説明会等を実施されていると聞いておりますが、迷惑施設の代表と言われる産業廃棄物最終処分場の整備については、住民の理解を得るのは並大抵のものではないと考えております。
 このような施設の整備に当たっては、何らかの地域振興的な施策がなければ到底住民の合意は得られないのではないかと思います。現在、建設候補地の周辺住民等に対して、施設の安全性や処分場設置の必要性を説明されておりますが、処分場設置に伴うメリットというものもあわせて説明していかなければならないと思います。検討に時間が必要というのは理解しますが、私は既にもうその時期が来ているのではないかと考えております。
 県では、十七年度に産業廃棄物税を導入されようとしていますが、この財源を活用し、公共関与処分場の確保のための施策を行うべきではないかと考えております。知事におかれましても、本年六月議会で、産業廃棄物税の使途の一つとして、産業廃棄物最終処分場の設置市町村における周辺環境整備や施設設置などを推進する旨の答弁をされております。処分場の設置について産廃税を活用することは、納税者である排出事業者の立場からも十分理解が得られるものと考えます。
 そこでお尋ねいたしますが、産廃税の使途として公共関与処分場の設置を促進するためにどのような方策を検討されているのか、環境生活部長にお尋ねします。

答弁:上村秋生 環境生活部長

 産業廃棄物最終処分場の設置に当たりましては、立地する市町村や地元住民など関係者の理解を得ることが最も大切なことと考えております。
 しかし、施設の周辺地域におきましては、生活環境が悪化するのではないかという不安、県内のほかの地域からの廃棄物が持ち込まれることに対する不満、さらには施設が設置されることによるメリットが必ずしも見当たらないといったことから、理解を得るのが難しい状況にございます。
 このような地域の不安や不満等に対応するためには、安全性の高い信頼される施設を整備すること、地域に理解が得られるよう説明責任を果たすことはもちろんでございますが、加えて、立地を促進する施策が必要であると考えております。
 そこで、産業廃棄物税を活用して、公共関与を初めとする管理型最終処分場の立地地域における生活環境の改善等を図り、立地を促進するため、市町村への立地交付金などによる支援を検討しているところでございます。また、廃棄物最終処分場が設置されている市町村に対しましても補助金等による支援を検討しており、平成十七年度当初予算編成の中で具体的な内容を固めていきたいと考えております。
 このほか、産業廃棄物税を活用して、産業廃棄物の排出抑制、リサイクルの推進、啓発及び環境保全活動の促進等にもしっかりと取り組み、適正な産業廃棄物の処理を推進してまいる考えでございます。

質問:馬場せいし

 ありがとうございました。
 最後に、今後人事交流についてでありますけれども、もう質問にはならないと思いますが、今後市町村合併が進めば、道州制や県レベルでの広域連合とかそういった議論になることは、もうこれは避けられないというふうに思います。そのことを視野に入れた人材育成を早目に行っていく必要もあるということ、また、国の職員ではなく、地方や九州各県の職員がイニシアチブをとるためには、九州各県との人事交流を積極的に進めるべきということをずっと申し上げてまいりました。
 それで、二年前から、大分、宮崎、鹿児島と、三県と交流をやっておられますけれども、これをもっともっと充実していっていただきたいということを申し上げたいというふうに思っておりました。
 また、もう質問になりませんのでお話ししますけれども、合併問題なんかもいろいろ厳しい局面を迎えておると思います。その中で、熊本市の政令市の問題をずっと申し上げてまいりましたけれども、今知事が一番心配しておられた相手方の問題というのは全くないわけであります、相手がいないわけでありますから。ですから、そういったことの心配は必要でありませんので、期限延長についてはしっかりと御協力をいただきますように、応援等よろしくお願いしておきます。
 時間過ぎました。本当に申しわけありません。皆様方に心から御礼申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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