県議会一般質問
平成22年9月定例会
提案理由の説明:馬場せいし
自由民主党県議団政策審議会長の馬場成志でございます。
自由民主党、民主・県民クラブ、公明党、無所属改革クラブの共同提出によります尖閣諸島付近で起こった中国漁船の領海侵犯、海上保安庁巡視船への衝突事件の真相究明と国の毅然とした対応を求める意見書について、提出者を代表して提案理由の説明をいたします。
最初に申し上げておきますが、これから提案いたします意見書は、決して偏ったナショナリズムや現在の雰囲気に基づいたものではなく、当たり前のことを申し上げるものであります。
その時々に小手先で解決しようとすれば、逆に右や左に極端にぶれて、物事はもつれ、外交問題も国内の法治国家としてのシステムも、最小不幸社会とは真逆の方向へ向かっていくのではないかとの強い危険性を感じ、国家の一員として、県民の代表として、政府に対して意見を申し上げるものであります。
皆様御承知のように、去る9月7日、沖縄県・尖閣諸島周辺の我が国領海内で、海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件が起こりました。そして、公務執行妨害の疑いで逮捕、送検された漁船の船長を、26日未明、那覇地検が処分保留で釈放するというゆゆしき事態が発生いたしました。
日本政府は、明治28年から一貫して尖閣諸島を領有しており、沖縄県石垣市に属するとしています。沖縄県に編入以来、国際的にも日本の領土と認められ、かつては、かつおぶしの製造やアホウドリの羽毛の採取などが行われた経緯もあり、さまざまな史実からも、国際法上も尖閣諸島は我が国固有の領土であります。
このような中で、那覇地検が中国人船長を処分保留で釈放したことは、法の手続を無視した事実上の超法規的措置と言えます。
釈放に当たり、那覇地検次席検事は、記者会見で、我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮したと説明しましたが、法に基づき事件を厳正に処理すべき検察当局が、外交上の配慮を述べることは理解しがたいことです。
今回の那覇地検の決定は、何らかの政治的判断によるものと考えられますが、政府は、あくまで地検の判断と強調しています。しかしながら、地検の監督責任は政府にあり、このような超法規的措置の決断を那覇地検が下すに至った根拠を、国民に説明しなければ到底理解できません。
また、今回の事件は、中国漁船が故意に船体をぶつけたか否かが判断の一つとなっていますが、中国側からは、日本側がぶつけたと正反対の抗議まで行われています。中国の国民、さらに世界の人々に正確な情報は伝わっているのでしょうか。海上保安庁は、今回の逮捕に際して、中国船の一連の動きをビデオにおさめているということですから、そのビデオを公開して、衝突事件の真実を国民並びに世界に明らかにする必要があると考えます。
さらに、当該海域では、本年8月中旬以降、最大270隻もの中国船籍らしき漁船が1日で確認され、そのうち約70隻は我が国領海内に侵入しており、今後は、同海域で中国漁船の活動がさらに活発化することをだれもが予想しております。既に中国の監視船がこの海域に出てきておるという情報が入っておるのは御存じのことだと思います。
政府は、今までの外交、防衛の状況を見直し、第11管区海上保安部の監視・警備体制等の体制強化を図り、我が国の漁業者が安心して漁業活動ができるよう、適切な措置をとる必要があります。
よって、国においては、今回の事件の真相究明と釈放までに至る経緯等について国民に説明するとともに、今後は、中国政府に対して毅然として対応し、世界に間違ったメッセージを発することのないよう、次の事項について強く要望するものであります。
1 中国人船長を処分保留で釈放した那覇地検の対応の根拠を国民に説明すること。
2 中国船の逮捕に際しての映像を撮影したビデオを公開し、衝突事件の真実を国民並びに世界に明らかにすること。
3 政府は、尖閣諸島が我が国固有の領土であるとの観点から、中国政府に対して毅然として対応するとともに、ガス田などの我が国の天然資源や海洋資源が損なわれないよう適切な措置をとること。また、今までの外交、防衛の状況を見直し、第11管区海上保安部の監視・警備体制等の体制強化を図り、我が国の漁業者が安心して漁業活動ができるよう、適切な措置をとること。
以上、地方自治法第99条の規定により、日本国民としての誇りを持って、また、外国からのお客様が安心して訪れることのできる国であり続けるために、何とぞ御賛同賜り、採択いただきますようお願い申し上げ、自民党、民主・県民クラブ、公明党、無所属改革クラブの共同提出による提案理由の説明といたします。