県議会一般質問
平成16年12月定例会
報告:馬場せいし
農林水産常任委員会に付託されました案件につきまして、委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
本委員会に付託されました案件は、予算関係一議案、条例等関係一議案及び報告一件であります。
まず、予算関係の概要について申し上げます。
農政部関係では、野菜及び家畜畜産物価格安定対策に係る基金の補てんに要する経費や果樹等の台風被害対策に要する経費等の一億八千九百万円余の増額補正であります。
条例等関係は、平成十六年度県営畑地帯総合整備事業の経費に対する村負担金についてであります。
林務水産部関係では、大雨や台風により被害を受けた森林や林道及び漁港施設等の復旧に要する経費等の一億八千五百万円余の増額補正であります。
報告につきましては、専決処分の報告一件であります。
議案等の審査の過程において論議されました主なものを要約して御報告申し上げます。
まず、委員から、川辺川新利水計画策定については、年内に素案の絞り込みを行うと聞いていたが、スケジュールが相当おくれているのではないか、県収用委員会は、来春には判断すると言っている、県としては、収用委員会の判断の時期に間に合うように調整する必要があるのではないかとの質疑があり、執行部から、非常に厳しいスケジュールであると認識しているが、農家にはダム案とダム以外の案の二つの選択肢を示し、判断を仰ぐことが大切であると認識している、また、計画概要素案の絞り込みに当たっては、収用委員会の判断時期を念頭に置く必要があると考えているとの答弁がありました。
また、委員から、来春まで三カ月という限られた期間しかない、二つの案の検証が重要であるというのは理解できるが、現在のスケジュールでは、来春までに農家に対し十分な説明を行い、一案に絞り込むのは困難ではないか、また、収用委員会の判断時期までに方向性が示せない場合は、調整役としての県の責任はどうするのかとの質疑があり、執行部から、総合調整役である地域振興部とも十分協議しながら、できるだけ早く計画概要素案の検証を進め、農家との話し合いに入りたいと考えているとの答弁がありました。
次に、委員から、農業にとって水は非常に大切である、球磨南部と北部の生産性の差は水であり、農家は安定した水を待ち望んでいるので、一日も早く農家に水を供給できるように、調整役である県は努力してもらいたいとの要望がありました。
次に、委員から、家畜排せつ物について、野積み、素掘りのある農家のうち、約八割は平成十六年度補助事業等で整備予定であり、約二割程度は簡易対応を指導していくということだが、簡易対応とはどういう方法で行うのか、また、法に基づき整備した人と、していない人とで明確に差をつける必要はないのかとの質疑があり、執行部から、家畜排せつ物法では、簡易対応は、家畜ふん尿の河川流入や地下浸透がないように管理することを趣旨としており、このため、地下に浸透しないつくりにし、しかも雨にぬれないように防水シート等で覆いをするなどの対応をいう、法律的には、整備していない農家のうち、指導しても改善が進まない場合、立入検査を行い、改善計画等の作成を指導し、それでも改善が見込まれない場合には、告発等により改善を求めることになる、当面は、改善の見込みを立てることを重点に指導していきたいとの答弁がありました。
次に、委員から、水とみどりの森づくり税の使途については、間伐が進まない森林を県が所有者にかわって間伐を行うと言っているが、その場合の優先順位あるいは実施地域についてはどう考えているのかとの質疑があり、執行部から、基本的には、現地を十分把握した上で、緊急性の高いところから実施することとなる、また、実行に当たっては、森林所有者と協定を結び、水土保全林を優先的に実施していくことが考えられるが、具体的には今後検討していくこととしているとの答弁がありました。
関連して、委員から、間伐に必要な面積は示されており、実施箇所は示せるのではないか、算定した面積の根拠は何かとの質疑があり、執行部から、間伐の必要な面積は、過去のデータなどから県全体の量としてとらえており、今後、具体的な整備箇所等については地域振興局等と協議していきたいとの答弁がありました。
また、委員から、使途については、県民に税の目的、理念を理解してもらうことが最も大事なことである、県民の意見を聞き、検討する姿勢を持つべきであるとの意見がありました。
さらに、委員から、この税の使途については、緑の羽根募金との重複を感じるとの意見があるが、どう説明するのかとの質疑があり、執行部から、緑の募金の使途は、主として、公園、学校等公共施設の緑化、地域の植樹祭など、身近な緑化活動に活用されている、水とみどりの森づくり税は、県民参加の森づくりが重要になってきている中で、管理が十分できていない森林の対策に充てることとしており、緑の募金の使途と重複のないよう整理していきたいとの答弁がありました。
次に、委員から、子供たちの学校給食に安心、安全な食品を提供することは大切なことである、しかし、輸入食品には遺伝子組み換えの問題もあり、学校給食に使用されていることを危惧している、実際大豆関係の食品の多くは輸入大豆が使用されており、学校給食に必要な大豆の大半は外国産が使用されている、県の大豆生産量は年間約六千百トンであり、このため、学校給食で使用する大豆はすべて県産の材料で賄えるように、ぜひ来年度から、農協とも連携を図り、大豆の生産振興に取り組んでもらいたいとの要望がありました。
次に、委員から、宇土市の埋設農薬について、最終処理を行うため今年度予算化されているが、現在の取り組み状況はどうなっているのか、また、工事の時期、方法、あるいは今後のスケジュールについてはどうなっているのかとの質疑があり、執行部から、埋設農薬の処理については、本年十月に環境省から最終処理マニュアルが公表されている、今回農薬安全処理組合から最終処理計画が提出され、検討委員会でも了承を得ている、工事計画については、国の事業計画承認を受けて、来年一月中旬に工事着手し、三月には完了の予定である、また、工事の際には、農薬飛散等の安全対策や周辺の水質環境モニタリングについても、関係課とも連携し、万全を期していくことにしているとの答弁がありました。
以上が論議されました主な内容でありますが、本委員会に付託されました議案については、すべて全員賛成をもって原案のとおり可決することに決定いたしました。
また、請願につきましては、お手元に配付の継続審査申出書のとおりであります。
最後に、本委員会所管事務の継続審査事件につきましては、議席に配付のとおり決定いたしました。
議員各位におかれましては、本委員会の決定のとおり御賛同賜りますようお願いを申し上げまして、農林水産常任委員長の報告を終わります。