県議会一般質問
平成17年2月定例会
報告:馬場せいし
農林水産常任委員会に付託されました案件につきまして、委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。
本委員会に付託されました案件は、予算関係4議案及び条例等関係5議案であります。
まず、予算関係の概要について申し上げます。
農政部では、くまもと農業の元気づくり、グリーン農業と多面的機能の発揮、安全、快適な暮らしの基盤、食・農ルネサンスを重点事項の柱として、地域ニーズに応じた各種施策を推進することとしており、特に、個性、こだわりの農産品づくり、輸出等新たな流通、販売の推進などの取り組み等に要する経費で、予算総額は、一般会計、特別会計合わせて560億900万円余であり、平成16年6月補正後予算と比較すると、金額にして20億5,500万円余の減、率にして3.5%の減となっております。
林務水産部では、林務関係においては、林業の生産活動を活性化させるため、林道の整備や間伐の実施、県産材の供給体制の整備や利用促進による需要拡大、水とみどりの森づくり税関連事業による森林の公益的機能の発揮に向けた取り組みなどに要する経費であります。また、水産関係においては、豊かな海づくりと魅力ある水産業の振興を図るため、漁場機能の回復に向けた増殖場の造成、栽培漁業や持続的生産が可能となる養殖漁業の推進などに要する経費で、予算総額は、一般会計、特別会計合わせて282億3,200万円余であり、平成16年6月補正後予算と比較すると、金額にして5億6,600万円余の増、率にして2.0%の増となっております。
条例等関係は、熊本県卸売市場条例の一部を改正する条例の制定ほか4件であります。
次に、議案等の審査過程において論議されました主なものを要約して御報告申し上げます。
まず、委員から、県産野菜が不足する夏場に導入する耐暑性のある健康増進作物とはどういう作物を想定し、県の特産物として育成するなど県外販売まで視野に入れているのかとの質疑があり、執行部から、東南アジアから、耐暑性があり健康増進機能のある品目ということで、台湾から、空芯菜、小白菜、カボチャ類、また、ベトナムからズッキーニ類やクレソン類等を調査し導入することとしている、また、現時点では、不足する夏場の野菜の安定供給を目的としており、県内だけでの供給を考えているとの答弁がありました。
さらに、委員から、県には、健康的な作物として、倉岳町のシモン芋や東陽村のショウガなどがあるが、これらの県外での需要は広がっているのかとの質疑があり、執行部から、シモン芋は天草で栽培されているが、大きく需要が伸びているわけではなく、現状維持の状況と聞いているとの答弁がありました。
次に、委員から、工事を発注する業者について、実績、経験等を考慮するのは理解できるが、地域を活性化し、県内業者を育成するためにも、県内業者で可能な工事はできるだけ県内業者という考えを基本としてもらいたい、一方、県内業者と県外業者が混在する指名があると聞くがどういうことかとの質疑があり、執行部から、一般土木工事については県内業者で十分できるという認識でいる、ただ、ポンプや電気等特殊な工事の場合、県外部門と県内部門ということで指名することがある、徐々にではあるが、能力のある県内業者の割合はふえる傾向にあるとの答弁がありました。
次に、委員から、本県の試験研究で実用化された品種は多いが、他県と比べて本県の研究成果についてはどういう認識でいるのか、また、民間が研究開発した成果については、どのように受け入れ、活用しているのかとの質疑があり、執行部から、本県では、20数年ミカンの品種改良の研究を行い、極わせからおくてまでオリジナル品種による出荷体制を整備しており、このような例は他県にはない、ほかにも「ひのしずく」や「天草大王」などのオリジナル性のある開発、改良についても、他県に比べ優先的に取り組み、その成果も十分出ていると認識している、また、国際あるいは国内での競争が激化しており、農家の経営安定を図るためにも、民間と連携をとりながら、早期によい技術を取り入れるという姿勢を基本に考えているとの答弁がありました。
次に、委員から、本年7月ごろから熊本空港の夜間貨物輸送が開始されるが、農産物の輸送計画はどうなっているのか、また、夜間の航空機輸送となれば経費が高くなると思うがどうかとの質疑があり、執行部から、青果物の輸送については、どの程度運ぶか等の計画は承知していない、また、JAからの聞き取りでは、夜間航空機輸送の出発時間は午前3時ごろと聞いており、このため当日の競りには間に合わず、コストも高くなるため、大量の輸送は早急には出てこないのではないかとの意見がある、ただ、青果物流通の中で、宅配的なものは利用が高まるのではないかと考えているとの答弁がありました。
次に、委員から、先般、大量の魚が死亡し、家畜排せつ物が原因と疑われているとの報道があったが、その調査に要した費用等はだれが負担するのか、また原因者が解明された場合についての費用等はどうなるのかとの質疑があり、執行部から、調査等に要した費用については県の指導費で対応している、また、その後原因者が解明されても、調査等に要した費用についても県の指導費で対応しているとの答弁がありました。
次に、委員から、県はクリーンエネルギー事業に力を入れているが、前年度も国庫内示減によりバイオマス利活用事業が大幅に減額となったが、新年度予算でも少ないのはなぜか、また、旧鹿本町の地区以外で新たな事業の取り組みはないかとの質疑があり、執行部から、前年度は国の予算配分が見込みより少なくなり、結果として減額となった、また、新年度予算については、平成17年度から家畜排せつ物法の本格施行後の対応となり、簡易対応などの応急措置をとる畜産農家に対し、施設整備費用を一部補助するもので、前年度より少額の予算となっている、また、現在のところ旧鹿本町の地区以外で新たに事業を希望する地区はないとの答弁がありました。
次に、委員から、上益城管内で、ニラへの農薬使用の問題で、ネギには使用できる農薬をニラには使用してはいけない、また、販売するときの残留基準は許容範囲と聞くが、具体的にどういうことなのかとの質疑があり、執行部から、本来、ニラには使用できない農薬が使用されており、適用外使用ということで農薬取締法の遵守違反に問われた、現在、国において、例えばネギとかニラのユリ科の作物については、グルーピングして一括して使用できるよう登録するということも検討されていると聞いており、県としてもわかりやすい農薬の適正使用に努めていくとの答弁がありました。
さらに、委員から、生産者にニラを廃棄させたと聞くが、どういう事情かとの質疑があり、執行部から、あくまで農薬安全使用推進という見地から、農家の方が反省し、自主的に廃棄されたと考えているとの答弁がありました。
次に、委員から、川辺川利水事業について、市町村長は事前協議のメンバーとなっているのかとの質疑があり、執行部から、関係市町村長で川辺川総合土地改良事業組合をつくっており、この組合が事前協議のメンバーであるとの答弁がありました。
さらに、委員から、収用委員会が審理を打ち切った場合、ダム案はどうなるのか、また、収用委員会で却下された場合、ダム案とダム以外案の2案を農家に示すことができなくなるため、きちんと選択肢を示すべきではないのかとの質疑があり、執行部から、収用委員会の審理が打ち切られた場合には、国土交通省は、ダムの基本計画を変更した上で、再度収用委員会に申請することになる、現在の状況から、スケジュールが大変厳しい状況であると認識しており、今後も総力を挙げて対応していくとの答弁がありました。
次に、委員から、水とみどりの森づくり事業の学びの森学校林活動推進事業に関連して、学校現場での体験学習は大事だと思うが、学校林の現状はどうなっているのかとの質疑があり、執行部から、学校林は県下に112校あるが、森林環境教育の場としては余り利用されていないため、今後環境教育の場として整備を進めていきたいとの答弁がありました。
さらに、委員から、中国は炭を全面輸出禁止としたが、杉などの間伐材で炭を生産することはできないか、また、炭の需要は高いと言われており、極端な不足による影響はどうなのかとの質疑があり、執行部から、間伐材を利用し炭をつくることもある、中国の炭は国内需要の約3分の1を占めているが、今のところ国内在庫もあり、また、今後東南アジア地域からの輸入増なども見込まれ、当面はカバーできると認識している、なお、国も国内産の増産対策を行うこととしており、本県としても対応していきたいとの答弁がありました。
次に、委員から、2年半後の開催となった本県での全国育樹祭については、単なる一過性の式典で終えるのではなく、これを機会に県内林業の活性化にどう生かしていく考えなのかとの質疑があり、執行部から、水とみどりの森づくり事業と関連させながら、県下全域で、県民参加の森づくりの推進や環境教育を推進させていく考えであるとの答弁がありました。
さらに、委員から、県産材の使用についても強力に推進してもらいたいとの要望がありました。
次に、委員から、漁業取締船「あまくさ」が老朽化を理由に建造されるが、現在の取締船は密漁の取り締まりについても対応できているのかとの質疑があり、執行部から、現在、取締船は小型から大型まで4隻あり、浅瀬や狭い海域では登載艇で取り締まりを行っているとの答弁がありました。
さらに、委員から、建造される「あまくさ」については、浅いところでの取り締まりが可能なように検討してもらいたいとの要望がありました。
次に、委員から、最近、外国から多量のアサリが入荷しており、安心して食べられなくなってきている、これを機会に、生産者の顔が見える安心な食材として、県産アサリのブランド化を図ってはどうかとの質疑があり、執行部から、よりよい品質のアサリを安定的に供給するために、関係漁協と連携し、適正な漁獲管理を行うことで資源回復を図っており、また、漁連共販体制を活用したトレーサビリティーシステムの検討を行うことでブランド化を進めていきたいとの答弁がありました。
以上が論議されました主な内容でありますが、本委員会に付託されました議案については、すべて全員賛成をもって原案のとおり可決することに決定いたしました。
また、請願につきましては、お手元に配付の継続審査申出書のとおりであります。
なお、国営川辺川土地改良事業の推進に関する決議を別途提案申し上げております。
最後に、本委員会所管事務の継続審査事件については、議席に配付のとおり決定いたしました。
議員各位におかれましては、本委員会の決定のとおりよろしく御賛同賜りますようお願いを申し上げまして、農林水産常任委員長の報告を終わります。